外科ブログ
Blog※この下に手術中の写真があり
2025.11.05(水)
〜 犬の口腔内メラノーマ切除術 〜
今回は口の中に発生する悪性腫瘍の一つである「悪性黒色腫(メラノーマ)」に対する切除術のご紹介です。
悪性黒色腫は口腔内腫瘍のうち発生頻度・悪性度が最も高く、進行スピードが早い腫瘍の1つであり、どの犬種でも起こるとされています。
発生部位は歯肉が最も多く、舌や口唇、軟口蓋・硬口蓋・喉頭(喉の奥)などに出来ることがあります。口の中の腫瘍は見つけることが難しい部位であること、発生してからの進行スピードが早いことから、ご家族が気づいて病院に来られる時にはすでにリンパ節や肺転移を起こしていることもあります。(皮膚にできることもありますが、皮膚に発生した場合は良性であることが多いです。)
確定診断には病理組織学的検査が必要になります。
口腔内腫瘍の増大によって腫瘍の潰瘍及び腐敗や自壊が生じると、口臭・口の痛み・食欲不振・流涎・口からの出血などが生じます。
治療法は<外科手術><放射線治療><内科療法>がありますが、内科療法は確立された治療がないため、外科か放射線単独もしくは複合治療の選択肢があります。発生初期に早期治療を行うことで根治となる場合がありますが、基本的には転移を起こしていることが多いため、術後の補助療法が推奨されます。’口の中のしこり’により食欲低下などが見られた場合には、本人の生活の質(QOL)の向上を目的とした手術を行う場合もあります。
実際に当院で手術を行なった子を紹介します。
15歳のプードルさんで左上顎前臼歯あたりの歯肉から発生した黒色腫瘤を生検して病理に提出したところ、悪性黒色腫(メラノーマ)という診断となりました。
その子に対して、腫瘍の切除、所属リンパ節切除および部分的上顎骨切除術を行いました。

〜ここからは手術の写真が掲載されますのでご注意ください〜
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・切除する部位にマーカーで補助線を引きます
マーカーを引くことで、腫瘍のマージンを確保しつつ、確実な切除に努めます
・口の中と外側からメスで皮膚を切ります

・腫瘍周囲の皮膚を切除していきます

・腫瘍が固着していると思われる周辺の上顎骨をドリルで切削します
・切除後の様子です。切除後、術部の縫合を行うため、皮膚の形成術を行います

・一部皮膚に切開を追加で加えて、皮膚を伸長して形成しました(前進フラップ)。
・縫合終了時の外観です
・抜糸が終わって術後の様子です、とても綺麗になりました
・しこりがなくなり、術後もご飯をおいしく食べれています。


