外科ブログ
Blog※この下に手術中の写真があり
2025.06.22(日)
〜 尿管結石に対する 尿管切開術 および 腎瘻カテーテル設置術 〜
今回ご紹介するのは、腎臓から膀胱へ尿を流す尿管に石が詰まってしまう尿管閉塞という病気です。
猫ちゃんで一般的におしっこが出ないと聞くと、膀胱から体の外へおしっこが通れる道である尿道に物が詰まる尿道閉塞が連想されやすいですが、病気の名前は似ていますが詰まる場所が違います。
人で尿管結石と聞くと三大疼痛の一つに分類されるようにご存じの方が多いと思いますが、猫でも食欲不振や活動性の低下が見られることが多いため彼らも相当な痛みを抱えていることが想像されます。
この病気から手術することになった症例をご紹介します。
中高齢の猫ちゃんで、血尿と食欲不振を主訴に来院されました。
超音波にて左腎臓が大きく腫れていて、左尿管内に1ミリの結石が見られました。
本人の状態と検査の結果から、尿管結石による片側尿路の閉塞と診断されました。
内科療法を行っていましたが反応が乏しく、このままでは片側の腎機能が障害されてしまうおそれがあったため、尿管切開術を行うことになりました。
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※※ここからは手術の写真がありますので、ご注意ください。
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腹筋を開けて、腎臓を露出していきます。
次に尿管を綺麗に露出していきます。
尿管は脂肪の中に埋もれているので、綿棒を使って脂肪を剥離します。
繊細なタッチで少しずつ剥がしていき、尿管に詰まった石を探していきます。
結石の閉塞部位をメスで切開し、尿管の粘膜を傷つけないように石を取り出します。
実際に取れた石です。写真では大きく見えると思いますが、実際は1mm程しかありません。
結石を除去したあとは、切った尿管を糸で縫合していきます。
粘膜を綺麗にあわせ、管として利用できるように縫わなければいけないため、拡大鏡を用いるとても繊細な作業になります。
縫う糸は髪の毛よりも細い糸です。
また、腎臓と膀胱を繋ぐ腎ろうチューブを設置することもあります。
腎臓に穴をあけデバイスを設置、断端を膀胱に接続して、バイパス完了です。
手術を行なった猫ちゃんはその後順調に回復し、お家で元気に過ごしています。