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2021.02.12(金)

犬の乳腺腫瘍は50%が良性50%が悪性です。悪性であっても早期であれば切除により完治が見込まれます。したがって早期発見、早期治療が大切となります。
シコリの大きさや出来た場所により手術法は異なり、特にリンパ管やリンパ節の分布を考慮して決めます。
このワンちゃんは後ろ二つの乳腺を鼠径リンパ節ごと切除しました。

 

乳腺のリンパ節の分布

 

切除範囲の決定

 

第4、5乳腺と鼡径リンパ節の切除

 

手術中、鼠径ヘルニアがあったのでこちらも整復

 

ヘルニア輪の閉鎖

手術後

2020.11.13(金)

脚の末端等に腫瘍(しこり)が出来たときに、切除しても周囲の皮膚が足りなくて切除後の傷の閉鎖が困難な場合があります。
この場合に使えるテクニックに動脈が支配している皮膚を帯状に切り出して(皮弁)、転移移植する方法です。
脚以外でも肩の周辺や乳腺~鼠径部(内股)、腰の周辺の動脈を利用して皮弁を作り大きな皮膚欠損部を覆うことができます。

大きな範囲の切除では、単純に切除後に皮膚を閉じても無理な引っ張り力の緊張がかかり傷が開いて治癒は困難です。

(特に、四肢では皮膚の余裕がないのでこのテクニックが有効です。)

後脚末端近くに出来た大きな腫瘍(実線円型部:肥満細胞腫)

膝の動脈を使っての皮弁作成の設計図

 

 

 

 

十分なマージン(腫瘍の根っこを残さないための正常部分の切りしろ)を取っての切除

 

 

 

 

皮弁の回転

 

 

 

 

無事綺麗に縫合が終わりました。

 

 

 

 

良好な治癒

 

 

 

 

 

 

 

2020.11.11(水)

膝蓋骨脱臼手術
小型犬の関節疾患で多いものです。手術適応かは脱臼の程度、年齢、将来の関節炎予防への考え方、そして症状(これが一番大切)と経済的事情をよく飼い主様と話し合って決めます。
当院での手術手技は①滑車造溝術②脛骨陵転位術③内方リリース④余剰組織縫縮術4つを組み合わせた方法で良好な成績をあげています。

 

①滑車造溝術:軟骨ブロックの切り出し、ラウンドバーでの掘削

 

 

 

 

②脛骨陵転位術:サジタルソーで脛骨切断、ピンニング固定

 

 

 

 

③内方リリース④余剰組織縫縮術

 

 

 

手術後のレントゲン写真

 

 

 

 

 

大腿骨の真ん中の「滑車溝」に膝蓋骨が整復されました。

 

2020.10.22(木)


健康診断のレントゲン検査で左肺にしこりが見つかりました。

単一孤立性のしこりであったため開胸手術により肺の左側後葉摘出を行いました。

開胸手術は激しい痛みを伴うことがあるため、しっかりしたペインコントロール(痛み止め)と人工呼吸器による厳密な呼吸管理が必須です。

麻薬系鎮痛剤の投与、肋骨間神経ブロック、肋骨間カテーテルによる局所麻酔薬投与、フェンタニルパッチ、NSAIDS等により万全のペインコントロールを行いました。

摘出した肺のしこり。

術後の痛みも無く、落ち着いています。術後数時間で歩いて飼い主様と面会が出来ました。

臨床症状もなく飼い主様のお嬢様の「虫の知らせ?」で健康診断をしたおかげで手遅れにならずに済みました。

自覚症状を言えないワンちゃんネコちゃんには定期的な健康診断が大切だと感じました。

早く良くなるといいね。

2020.10.08(木)

本を読まないのに犬にもコンタクトレンズがあるの!?と驚かれることがありますが、このコンタクトレンズは眼の表面(角膜)に傷が出来てしまった時に使用します。傷をコンタクトレンズで覆って保護し治癒を促します。
痛みの軽減になり、視野も確保されるのでワンちゃんは快適です。
ただし、コンタクトレンズの脱落を防ぐために瞼を少し縫合することもあります。
動物医療の日進月歩を感じさせる治療器具なのではないでしょうか。

 

コンタクトレンズ専用ピンセット付き

 

コンタクトレンズの四隅に青い目印

出すと、こんな感じです。

装着。角膜(目の表面)に白い傷があります。

全く違和感なく、むしろ痛みが無くなっています。

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